この曲は宇野さんという色黒で、年上の友人に教えても
らった。宇野さんは新聞奨学生で朝と夕方新聞をくばり
ながら二年間この曲だけをきいていると言っていた。60
年代に作曲された曲のなかではトップクラスのポップソ
ングだぁ、とよくいっていた。ぼくもそうおもう。
宇野さんがある日、渋谷のレコファンでアナログが15
00円であったからと、このレコードを頼んでもないの
に買ってきた。そのときは、なんだこの人、と思ったけ
れど、今は感謝している。
なので、この曲をきくたびに色黒の宇野さんが新聞を配
っている姿が目にうかぶ。ぼくの想像のなかで宇野さん
はなぜか裸足で、小銭をにぎりしめてトップクラスのポ
ップソングだぁ、と言いながら、小雨のなか新聞を配っ
ている。
宇野さんは新聞奨学生で通っていた専門学校を卒業した
あと、コンピュータープログラム会社に就職したけれど、
なにかの理由で東京をはなれた。たしか関東のどこかに
ある実家に帰った。
宇野さんは今でもこの曲が好きなはずだ。ぼくも何十年
たってもこの曲を好きだとおもう。
- yuji (the shakers)
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