友達と別れてつかまえたタクシーは、行き先を告げると無言で車を発車させた。
電話を切ったあと、フロントミラー越しに小さな声で「日本人ですか?」と聞いた運転手は、
黒い肌と縮れた髪の毛の女性で、ワタシのナマエはロビンソンです、と言った。
たどたどしく、ぽつりぽつり嬉しそうに日本語を話すドライバーは、
夜の暗闇で、白い歯のくっきり浮いた笑顔でゆらゆらと手を振った。
車の流れにすうっと飲み込まれた彼女を、見つけることはもう二度とないだろう。
とても風が強く、静かで不思議な夜だった。
Shakers (hanako)
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