東京スカパラダイスオーケストラの前座をしたことがあって、
ギターをひいた。申し訳ないけれど、スカパラのレコードは
一枚ももっていなかった。
にもかかわらず、ぼくは楽屋でずっとドキドキしていた。心
が高鳴っていた。ぼくはそうとうひねくれた人間だけれど、
あのときは純粋な少年にもどったようだった。なぜなら楽屋
にフィッシュマンズのドラマー茂木さんがいたからだ。
(スカパラのドラマーでもある)
フィッシュマンズは奇跡的にすごいバンドだった。才能のあ
るひとは早死にするの法則にさからえず、ボーカルの佐藤は
若くして死んだ。
このナイトクルージングの入っている「空中キャンプ」はす
ごいアルバムである。そのアルバムでドラムを叩いていた人
が目の前にいるとおもうと感動した。
話かけたいなと思いながらも話すタイミングが作れず、少女
のようにモジモジしていたというのはウソで、ぼくはトビウ
オのようにピシャンと茂木さんのところにいった。ぼくがど
れだけこの曲とこのアルバムを愛しているか、早稲田でやっ
ていたライブのときバイオリンはいらなかったんじゃないか
とか、いろいろ聞きたかったからだ。
でもノートブックでメールをしていた茂木さんの後姿をみて、
話かけるのをやめた。なんだかわからないけれどやめたのだ。
あの感情はいまだによくわからない。
その日は死ぬようにお酒をのんだ。演奏中も飲みつづけた。
酔いすぎてギターの線が知らないうちにアンプから抜けてい
た。演奏後も飲みつづけて、吐きつづけて、それでも飲みつ
づけた。
明日シェーカーズのイベントがある。酔いすぎたそのステー
ジの、ぼくの隣でベースを弾いていたサンフォードもDJをす
る。ぼくらはいつも飲みすぎる。
この文章は不完全にここで終わる。うまくまとめようと思え
ばできるけれど、それはしない。夏休みの終わりのような、
そんな不完全さ。
yuji (the shakers)
No comments:
Post a Comment